引越しは引越しでも、日本で唯一、離島専門の引越しサービスを展開する会社がある。福岡に本社を置くアイランデクス株式会社だ。彼らはいわゆるただの引越し屋さんではない。「単に荷物を運んでいるのではなく、お客様のドラマに立ち会っているのだ」と代表の池田さんは言う。「困っている知人を助けたい」という想いから誕生したビジネスはたちまち需要を増し、今では物流にとどまらず様々な離島の課題解決に立ち向かう。今回、ビジネス拡大に伴い対馬事業所での立ち上げメンバーを募集する。離島を専門に扱う理由とそれを他社がためらう理由、今後どのようなビジョンを描いていくのか、代表の池田さんに話を伺った。
離島の引越しを始めたきっかけ
この事業をスタートするきっかけとなったのは、当時まだ会社を設立する前に、知人から離島の引越しを相談されたことでした。引越し業者を探しているがやってくれるところが見つからない、もしくは非常に値段が高いと困っていたところ相談を受けました。引越しのノウハウや知識は全くない状態でしたが、私が個人的に引越しを10回以上経験してきたことや船が好きということもあって、船で物を運ぶための知識はなんとなく頭にありました。興味で少し知っている程度でしたが、「できるかもしれない」と思って仕事を組み合わせてみたところ知人の手助けをすることができたというのがはじまりです。
その時は人助けをしただけでこれを事業化しようとは思っていませんでしたが、その後大阪から奄美大島への引越しを取り次げるということをブログに紹介すると、半年ほどしてまた新たに引越しの相談が入りました。離島に引越す人の市場規模がどれほどのものかわかりませんでしたが、少なくとも目の前に1人困っている人がいて、そして次第にその困っている人が自分の思っていた以上にいるということに気づいたんです。もしかしたら需要があるのかもなと思っていたところ、いつの間にか離島引越しの相談が止まらなくなり、法人化したという経緯です。
離島の引越しの現状
離島の引越し料金が高い理由として、リスクが大きい、効率が悪い、収益が見込めないなどの理由があります。例えば、離島の引越しでトラックを使用するとなると、島の往復にかかる日数分トラックが使用できなくなります。そうなると離島の引越しを1件やるより市内の引越しを何件かやった方が効率がいいので、その分費用を上乗せしないと割に合いません。
また、船やコンテナを扱う際に営業許可が必要なので、それをわざわざ取得してまで離島の引越しを請け負うという会社も少ないです。他にも船の遅延や島でのイレギュラーなど様々な対応が求められるので、そこに労力を割くくらいならそもそもやらないか、高い料金を支払ってくれるならやるというのが多くの引越し業者のスタンスです。それが離島だけを専門に扱う引越し業者が他にいない所以であるともいえます。
「やりたいこと」が喜ばれる
離島の引越しについては、私たちが安いというより、適正価格でやっているという認識です。また、私たちは「離島の引越しをやりたい」というメンバーで成り立っているので、そもそもやりたいことなんだから普通の会社が嫌がること、どうしたら上手くいくかという答えが出ないことほどやってみたいというメンバーが集まっています。「やりたくないことをやる=高い料金を取る」という方程式があると思うのですが、私たちはそれを「やりたい」と思っているので値段が高騰しないというのもあると思います。
「困っている人を助けたい」という気持ちは人間誰しも持っているものだとは思いますが、この仕事は感謝される度合いが非常に高いと感じます。普通に福岡市内の引越しをしても感謝されるところってコストパフォーマンスしかないと思うんです。島の引越しに関しては、引き受けてくれるところがそもそもなかったり料金が異常に高かったりするので、コスパという概念を超えて、まず「引き受けてくれてありがとう」というところから始まります。こちらからしたら当然のことでもすごく喜んでもらえて、本土では感謝されないようなことでも感謝してもらえるので自分たちもやっていて楽しいです。
結局はできるかどうかというより、やるかどうか、やりたいかどうかであって、そこにやりがいを持っているスタッフを集めています。費用との相談にはなってきますが、基本的にはやりたいと思ったらできないことはないと思っています。競合がいないことで逆に一緒にお仕事をする方たちと仲良くなりやすい仕事だと思いますし、仲良くしやすい仕事をさせてもらっていると感じます。
離島で働く魅力
十人十色で魅力に感じるポイントは人それぞれだと思うのですが、やはり大きいのは都会で働いていたら得られないことが得られることでしょうか。朝日とともに目覚めて、空気がきれいで、騒音がなくて、太陽が沈んだら家に帰るという人間本来の生活が送りやすいというのが大きいと思います。
また、島民の方と一緒になって事業を進めることが多いのですが、島の課題に直面することが多いです。物流課題もそうですし、島に荷物が届かないとか、引越し料金が高いとか、島にいるといろいろな課題が見えてくるので、その解決に向けて貢献するためにはどうすれば良いかを考えさせられます。都会に住んでいて課題を見つけても、その課題を解決する当事者になることはあまりないと思うのですが、島に行くとその課題を解決してくれる人が本当にいないので自分がプレイヤーになれるというか、当事者意識をもって働く意味や生きる意味を見つけることができるというのが魅力です。
逆に厳しさを挙げるなら、天候によって仕事が左右されることです。天候が悪くて船が出ないという事態が思っている以上にあります。壱岐・対馬は比較的近いですが、それでも年に何回も船は止まりますし、荷物が届かないということも当然たくさんあります。陸続きではないからこその不便さや不都合はあると思います。ただそういったイレギュラーにいかに対応するかというのを考える楽しさや対応力は養えると思います。
離島を専門に扱う理由
私たちは、引越しがやりたくて引越し会社をしているというわけではなく、お客様が離島に引っ越すドラマ、移住を決めるという大きな決断に立ちあうのが楽しいからこの仕事をしています。いわゆる引越し業者のようにトラックを運転したり荷物を運んだりするためにしているわけではありません。
ただの引越しではなくて離島への引越しに至る決断というのは人生のターニングポイントとも言えるような大きな決断です。そのターニングポイントに出会えるというところにドラマを感じますし、それが一番のやりがいです。
対馬事業所の立ち上げメンバー募集
現在、パート・アルバイト含めて社員約30名在籍しており、ありがたいことにたくさんの問い合わせをいただいている状況です。そこで、人員補強と事業拡大のために新たに対馬事業所を開設することになりました。今回、その立ち上げを担う仲間を募集します。
業務内容としては、対馬での事業所立ち上げ業務全般にはなるのですが、基本的には主に問い合わせへの対応になると思います。スキルとしてはパソコンのスキルや電話応答の基本的な事務スキルがあれば大丈夫です。
対馬事業所での勤務がメインですが、テレワークもOKなので365日対馬にいなければいけないというわけではありません。ただ、生活の拠点を対馬に移すことになると思うので、それが可能な方か、対馬にお住いの方を探しています。
応募方法について
まずは応募フォームからご応募ください。その内容を踏まえたうえで面接という流れになります。応募者数にもよりますが、基本的にはオンライン面接を経た後に実際に対馬に来ていただいて現地での面接を行う予定です。対馬へお越しいただくことになった際の交通費はこちらから支給します。新卒・中途関係なく約2名の採用を考えています。経験は特に問いません。
離島が好きという方、一緒に一から事業所を作り上げていくことにワクワクを感じるという方のご応募をお待ちしています。島の方と仲良くなったり、離島への引越しという課題をどう解決できるのか一緒に考えてくれる仲間を探しています。解決策が検索しても出てこないことが多いので、現場に行って感じたことから答えを導き出さないといけないことがよくあります。現場の課題に寄り添って、一緒に課題解決に取り組みましょう!
今後のビジョン
私たちの事業のミッションとして「離島の社会課題の解決」があります。今は物流を主軸にしていますが、今後さらにいろいろなところに課題を見つけて、役に立てそうなことがあれば解決していける組織になりたいと思っています。離島に住んでいる方が離島を誇れるように、島にいることのデメリットをどんどん消してあげて、島にいることが自分の付加価値になっていけるような世界にしていきたいです。
そのためにいろいろな方と手を組んで困っている人のためになりたいと思っています。今年の売上は約4億円で、今後まだまだ成長フェーズ。トライアンドエラーでいろいろなことに挑戦していきたいと思っています。
離島の課題解決を仕事にしたい人からのご応募、お待ちしています。