代表インタビュー
困っている人の力になりたい。
お客様の声から生まれた、“離島専門”の引越し会社
数ある引越し業者のなかでも、“離島”に特化した引越し・輸送サービスを展開する、アイランデクス株式会社。
なぜ“離島”専門なのか。なぜどこよりも安く、安心安全なサービスを提供できているのか。「離島引越し便」を運営するアイランデクス株式会社の代表に、「離島引越し便」が生まれた背景や今後の事業展開について伺いました。
(interviewer:コマツマヨ)
なぜ今、離島暮らしに注目が集まっているのか
変化する人々のライフスタイル。国の政策。離島移住者が増えるワケ
2015年からスタートした「離島引越し便」。昨年会社を法人化し、「アイランデクス株式会社」と名前を改め、新たなスタートを切りました。
日本の離島には、都会の便利な暮らしとは違って、その土地の人たちが古くから維持している暮らしがあります。ここ数年「離島暮らし」に注目が集まっているのは、人々のライフスタイルが変化するなかで、人間本来の生き方に近い暮らしを望む人が増えていることが理由のひとつではないかと思っています。
また、昨年12月に「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法案」、いわゆる“国境離島新法”が成立したこともあり、国をはじめとする公的な機関が積極的に離島の保全に乗り出すことで、国や地方自治体の職員が、仕事として離島に移住するケースも増加しています。
「離島専門引越し便」とは?
全国の離島への引越し・車輸送に特化した、離島専門引越しサービス。フェリーや現地の引越し業社と提携し、一般的な引越し料金よりもはるかに低価格で引越しを承ります。
離島を専門とした豊富な実績から、フェリー会社や現地の運送業者と連携し、安全で効率の良い荷積みを行うことで輸送コストを大幅に削減。離島とは切っても切れない災害や気候の変化によるフェリーの遅れや運休にも対応したスムーズな輸送が可能です。見積もりからお荷物を運び入れるまで同じ担当者が担当するので、お荷物を安心して預けていただけます。
業界トップの安さ。なぜこんなに格安で質の高い輸送サービスが叶うのか
一般的な引越し業者は、自社で保有するトラックを使って、引越し先まで直接荷物を運びますよね。荷物の量さえわかれば、即座に見積もりを出すこともできます。
一方、離島への輸送手配はとても煩雑で、まず港まで荷物を運ぶ業者の手配、離島に輸送できるフェリーの手配、フェリーから引越し先まで荷物を運ぶ現地の業者の手配が必要になります。それぞれの業者と日程調整をしないといけないので、見積もりが簡単に出せないんです。そのうえ離島へのフェリーは毎日出ているわけではないので、お客様のもとに荷物が無事到着するまで担当者が何日にもわたって確認する必要があります。天候不順で船が出ないことも頻繁にあるので、そうなると業者やお客様と日程を調整し直さなければなりません。小さな離島だと引越しする人が頻繁にいるとも限らないので、トラックを保有してスタッフを雇っておくことも難しい。こうした事情から、通常の引越し会社のやり方では離島引越しはとても難しいんです。
当社はトラックも持たず事務所もありません。それぞれの地域の信頼できる業者さんに現地で作業をお願いする形なので、経費を大幅に抑えて、その分引越し代金に還元することができます。(※2019年5月より宮古島にトラック・車両・事務所開設)
離島専門に実績を重ねてきたことで、フェリー会社や現地の運送業社とも強い連携体制が実現し、おそらく業界では最安で、個人手配よりも安い価格で輸送できる仕組みが整いました。
離島専門業者だからできる、質の高いコンテナ輸送技術が強み
コンテナ輸送の扱いに長けていることも、当社がどこよりも安く、安全な輸送ができる理由です。
一般的な引越しでは、トラックに積む場合、物が壊れたりしないように人の身長くらいの高さまでしか積み上げません。しかしその方法でコンテナに積み込むと荷物が少ししか積めなくなり、コンテナのサイズが大きくなって費用が跳ね上がってしまいます。
当社では、他社が絶対に詰まないような高さまで荷物を積み、なおかつ物が潰れないような高い梱包技術を有しているため、できるだけ小さいコンテナに収めて輸送費用を抑えることができます。
現地の業者に再利用してもらえるような丈夫で安価な梱包材も使用し、梱包材の返却手間や費用を抑えると同時に、エコの観点にも配慮しています。
現代のわらしべ長者?! “離島専門”の引越し会社を始めたきっかけ
本当に困っている人の力になりたい。そう思って努力していたら「離島引越し便」ができあがりました
この仕事をはじめるきっかけになったのは、大学院を中退し、起業してデザインやコンサルタントのような仕事をしていたときのことです。
その頃お世話になっていた神戸牛のお店で、“神戸牛コロッケを街の人と物々交換で神戸牛をゲットできるか!?”という企画を提案したのですが、はじめに物々交換に応じてくれたのが奄美大島出身のカップルだったんです。色々あって企画は中断したのですが、そのカップルとはSNSで交流を続けていて、数年後「結婚して奄美大島に引っ越します」という連絡をもらったタイミングでお祝いもかねてお会いすることになったんです。
お話を聞いていると、「引越し会社の見積もりが70万円と言われて困っていて……」とおっしゃったので、「僕にできることならお手伝いしますよ!」と言ったんですよ。そしたら、「じゃぁ、池田さんに頼んだら引越しいくらになりますか?」って(笑)
僕は荷物を運んだりする“お手伝い”のつもりだったので困ったな~と思ったんですが、でも同時に「2人暮らしの荷物を運ぶのに、いくらなんでも70万は高すぎるよなぁ」とも思って。手伝いますと言った手前、なにか協力はしたいと思っていたので、試しに個人手配でやってみたら35万くらいで引越しができたんです。
「ひょっとして同じように困っている人が他にもいるんじゃないか」と思って、すぐに「奄美大島への引越しで困っている方、格安で引越しできますよ」という内容と僕の連絡先を書いたブログを開設しました。特に更新することもないのでそのままにしていたのですが、数ヶ月後、引越しの依頼が舞い込んできました。ネットの検索順位も100位くらいだったと思うのですが、それでも、僕のブログを一生懸命探して、何の実績もない個人の連絡先に勇気を出して連絡をしてくるということは、やっぱり離島に引越しする人はよっぽど困っているんだ、と確信して。
きちんとした事業としてやっていけるよう、フェリー会社と、大阪・奄美大島のそれぞれの業者に交渉し、独自の輸送ルートを確保しました。当時は自分一人が食べられるだけの収入はあったので、大きな利益は出なくていいから困っている人の力になれたらいいな、くらいの思いでスタートしました。
それから半年で10件くらい依頼がありました。実績が増える分、フェリー会社や運送業者からの信用もいただけるようになり、少しずつ奄美大島専門引越し便としての体制が整っていきました。
すると今度は「東京—奄美大島はできませんか?」というお話をいただくようになり、これまでの「大阪—奄美」に加え、新たに「東京—奄美」のルートを増やしました。
当初は奄美大島専門でやっていたのですが、「石垣島はできないの?」「宮古島への輸送はできますか?」と徐々に他の離島への依頼もいただくようになったので、その都度それぞれの地域の業者と交渉させてもらってエリアを拡大していきました。
現在は、沖縄県・鹿児島県のほとんどの離島への輸送が可能になりました。
僕にできることで、島への恩返しがしたい
日々、品質向上。
今でこそ安全安心な輸送を強みにしていますが、最初にお手伝いさせていただいた奄美大島のお客様のときは、引越しの知識はゼロですし、手配した業者も引越しの経験が少なかったので、ほぼ無梱包でコンテナに積み込んでいました。荷物は相当傷ついたのですが、お客様は「それでも、値段が安くなれば構わない」と了承をいただいて。
ただ、今後業務としてやっていくにはこのままではダメですよね。なので、港に着いたコンテナを開けた時に荷物がどのような状態だったか、それぞれの業者に情報共有をお願いするようにしました。同業者やトラック運転手の知り合いにも上手な積み方や破損を防ぐテクニックを教えてもらい、手探りではありますが輸送の質を上げるよう少しずつ努力を重ねてきました。
もちろん今もまだ完全ではないので、離島専門、コンテナ輸送の専門業者として日々輸送品質の向上に努めています。
島の生活を守り続けている方々と、win-winなビジネスを。
今の僕があるのは、この仕事のきっかけとなった奄美大島のみなさんをはじめ、離島に住むみなさんのおかげです。だから今度は、これまでお世話になった離島の人々へ恩返しできるようなビジネスを展開していきたいと考えています。
そのひとつが、移住者向けのリノベーション事業。それぞれの島には風土や気候に合った古くから伝わる建築様式がありますから、現地の業者さんの協力を得て、現地の建築様式を生かしたリノベーションを行うこと。いずれ移住者がそこを去った場合にも、現地の人が再利用しやすいリノベーションを考えています。また、今年春よりスタートしたのが、観光客向けではなく、仕事のために移住してきた方の奥様やお子様たちが、美しい海のことを知って島を好きになってもらえるような移住者の家族向けのマリン事業です。
いずれにしても、その土地の人たちの仕事を奪わないよう、現地の方々と協力して、“提携”という形の事業展開を考えています。
島のみなさんと移住者のみなさん、どちらにも有益になるようなwin-winな関係を築いていきたいですね。
池田和法(いけだかずのり)
アイランデクス株式会社 代表取締役
1987年生まれ。
愛媛県松山市出身、大阪府大阪市在住。
「たとえ離島だとしても。困っている一人のために全力を尽くせる企業でありたい」
離島専門の引越し事業を軸に、離島に住む人たちの暮らしと文化を守りながら、地域活性化や移住者の支援を行う事業を展開。行政や地域との関わりも深め、島の人々と移住者どちらもwin-winとなるビジネスを続けている。
アイランデクス株式会社
https://islandex.co.jp/