離島引越し便ブログ

「スープの石」になれているか。

スープの石_離島引越し便

スープの石という、ポルトガル寓話を知っていますか?本日教えてもらって、感銘を受けたので共有したいと思います。

「地域づくり」を事業の柱に置いている我々にとって、捨ておけない思考だと思いメモしておきます。

(上の石の写真は、奈留島の海岸にて。)

スープの石

ある村の女の人の家を身なりの良い旅人が訪ね、何か食べ物をいただけないかと言った。「あいにく、何もないんですよ」と女の人が答えた。「ご心配いりません」と旅人はにっこり笑っていった。「このカバンの中にスープの石を持っていますからね。これを熱湯の中に入れさえすれば、世界一おいしいスープができあがります。大きな鍋にお湯を沸かしていただけますか?」

女の人は半信半疑で、かまどに大きな大鍋をのせて、湯を沸かしはじめた。そして、隣のおかみさんにいきさつを耳打ちした。お湯が煮える頃には、近所の人が残らず、家にやってきた。旅人は石をお湯の中に落とした。そしてお湯をスープですくって、口にふくんだ。「なかなかうまい。ジャガイモが少し入ると上出来だ」

「ジャガイモなら、私の家にありますよ」見ていた一人が言った。すぐさま自分の家に戻って、皮のむいてあるジャガイモをたくさん持ってきて、鍋に放り込んだ。旅人はまた一口、味見をした。「ああ、うまい!肉が少し入ればすてきなスープになるのだが」

別のおかみさんが家に帰り、肉を少し持ってきた。旅人は感謝の言葉をかけ、肉を鍋の中に投げこんだ。そして、一口、味見をした。「実においしい!あとは野菜が入れば完璧だ!」

また別のおかみさんが家に走って戻り、カゴいっぱいのニンジンとタマネギを持ってきた。鍋に野菜を投げこみ、しばらくして味見をした。そして今度は命令口調で言った。「塩とソースがいりますね」「ここにあります」と家の主の女の人が言った。

「めいめいのお椀を!」ひとびとは家に走って戻り、お椀を持って戻ってきた。中にはパンや果物を持って走ってきた者もいた。

旅人はみんなに、信じられないほどおいしいスープがなみなみと入ったお椀を配った。おしゃべりしながら、みんなで作ったごちそうを味わった。その空間には笑顔があふれ、誰もがとても幸せな気持ちになった。

楽しいパーティの最中に、旅人はこっそり立ち去った。奇跡のスープの石を残してー。

(ポルトガル寓話)

スープの石が触媒*のように地域をつなぐ

ここでいう「スープの石」は、旨味み成分が染み込んだ魔法の石では無い。「何も変哲もない石」が地域に眠っていた資源と、家に閉じこもっていた住民を引っ張り出したという寓話です。

*触媒というのは、化学反応の前後で、化合物の反応を仲介する物質です。触媒があることで、平衡を大きく傾けることができ、化学反応を促進するために利用されます。

我々はスープの石になれているか

アイランデクスは、従業員の70%が離島に居住し、離島の事業しか行わないので、離島に軸足を置いている会社だと言えると思います。それでも、本社は本土にあるし、一つの島にスタッフが集まっているわけではないので、どの島に行っても「島外の企業」と見られます。その点については、反論の余地もないのですが、外の企業(よそもの)だからこそ、できることや関わりかたがあると思っています。そこで気をつけたいのが、「スープの石」に慣れてるのか、という考え方です。

旅人のような我々が、スープの石のように、地域で出会った方々の「ない」を「ある」に変えるようなきっかけを模索していきたいと思っています。

※写真は、2019年の国の島々が集まる祭典「アイランダー」での、どこかの島が提供してたセメントを割ると「大当たり」な石が出てきたときのもの。地域にとって、大当たりな石でありたいものです。

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